裸足のシンデレラは御曹司を待っている
父親同士が親友で、子供の頃からずっと一緒に姉弟のように育った陽太。
まさか、そんな風に思われていたなんて考えた事もなかった。
2つ年下の陽太。中学の時に付き合った彼女も高校の時の彼女もみんな知っている。そういえば、ここ何年か彼女がいなかった。
でも、だからと言ってまさか自分が恋愛の対象になっているなんて、思いも寄らぬ出来事。

「あの……」

なんと返事をしたらいいのか、頭の中が真っ白だ。

「いいよ、返事は急がないからよく考えてくれ。今日はおとなしく帰るから……」

そう言って陽太は、すっくと立ちあがり玄関でサンダルに足を入れた。
「じゃ、おやすみ」
ニカッといつものように笑う。

カラカラと引き戸が閉まるのとただ呆然と見つめていた。

緊張の糸が切れたように、へなへなとその場にしゃがみこんでしまう。

真哉の実の父親・直哉の事で頭がいっぱいだったのに、陽太の事まで考えないといけないなんて……。

はぁー。っと大きく息を吐きだした。

無理、ホント無理、どうしていいのかわからない。


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