裸足のシンデレラは御曹司を待っている
陽太の事を大好きな真哉。
それは、真哉にとって理想のパパの姿。きっと、陽太がパパになってくれると言ったら大喜びするはず。

でも、私は……。
陽太にいつも助けてもらったり、仲良くしているけど、それは、おばあや城間のおじさん達ひっくるめて家族だと思っていた。
2歳年下の陽太とは、姉弟のような関係だと疑ったことなどなかった。

チェストの上に立てかけてあるアルバムを取り出し、そっと開く。
アルバムの中の少し色あせた写真。幼い頃、悪ガキだった陽太がニカッと笑っている。
小中学校で野球をやっていた頃の丸坊主の写真、夏休みのエイサーの時に打掛姿で汗をかき真剣に踊っている写真、どれもこれも大切な思い出だ。

怖い……。
何が正解なのかわからない。

家族という形を考えたら、陽太と信頼で結ばれた夫婦も有りなのかもしれない。

でも、今、私が好きなのは直哉で、その直哉は私の事を忘れてしまっている。
もしかしたら、ずっと私の事を忘れたままで、東京に帰ってしまったら一生会わなくなってしまうのかも……。
思い出したら? 
私を好きだと言ってくれるの? 
抱きしめてくれるの? 
真哉の事もひっくるめて家族になってくれるの?

直哉の滞在予定、『城間別邸』の予約は6泊分の予約、今日は3泊目、残り3泊しかない。


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