炎のシークエンス
疲れているのだろう。桃子は私の肩に頭を乗せて眠ってしまった。

寝顔、可愛すぎ。
男の子ならだれでも桃子を好きになる。

連太郎に愛される桃子がうらやましい。
でも、私が桃子になれるはずもなく。

だから恋愛感情は押し殺して、連太郎の幼なじみというポジション維持に努めていた。
このポジションだけは、私が一番だから。

それなのに。

せめて覚えていたらよかった。連太郎はどんな顔で私を抱いた?何か言ってくれた?
嘘でも好きだと言って抱いてくれていたら、それだけで残りの人生幸せでいられそう。
いっそ、キスマークが消えないでほしい。


連太郎。次に会ったとき、どんな顔したらいい?どんな言葉を言えばいい?今まで通りになんて出来るかな。


「ほら、桃子。もうベッドで寝な?私帰るね」

眠ってしまった桃子をベッドに寝かせて、私は自宅に帰った。

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