Second story
彼に連れられ廊下を奥へと進み、少し経ってから彼は一つの部屋に入った。
「…ぉおお!」
「…っ馬鹿、大声出すな」
私達が入ったのは普通の部屋より大きめの映画に出てきそうな寝具が揃った部屋だった。
彼は少しの間ドアの向こうの音を聞いていたがしばらくしてこちらを向いた。
「お前、名前は。」
「ここ、何処。」
私と彼の名前が被った。
少し間が空いて、私かな、と思って
「明日奈、です。」
と答えるとやっぱり
「城の中」
という彼の言葉に被った。
彼は少しあきれたように笑った。
ていうか、城の中ってことくらい理解できるわ…。
「さっき、名前…」
と言いかけて止めた。
あからさまに彼の表情が曇ったからだ。
「あ…えと、日向だっけ、それでいいよ。」
彼はこう続けた。
「ここを離れたほうがいい。少し下ったらそこに小さな町があるから泊めてもらうといい。」
彼はそう言い、出口まで送っていくよと笑った。
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