Second story
しばらく廊下を歩いて、私はパニックを通り越して落ち着いてさえいた。
問題は夢では無さそうだということ、そして何処かすらわからずお金も何も持っていないということだった。
「…あ、の、」
少し前を歩いていた彼が歩きながら振り返った。
「…お金、とか、持ってないんですけど…」
いやいや、何で私が悪びれなきゃいけないんだ…被害者だぞ、なんて思いながら彼に言うとやはり驚かれた。
「…お前、やっぱりここら辺の奴じゃなさそうだな。どこから来た。」
「…えーと、日本?」
さすがにここは日本ではなさそうなのでそう答えると「どこだよ、それ。」と言われた。
え、今あなた日本語喋ってるよね?え?
「まぁいい。なんかの手違いってこともある。まぁ帰れないと思っておいたほうがいいな。」
「…ですよね…。」
想像はしていたけど実際に言われると辛い。
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