Second story
しばらくして出口に近づくと彼に少しのお金を渡された。
「え、いいんですか…?」
そう言うと彼は
「金も持たずにどうするんだよ、餓死するなら俺を巻き込むなよ。」
と笑った。
よくもまあそんな物騒なことをと思いながらも
「ありがとう、ございます。」
とだけ言って受け取った。
すると彼は急に笑いだし、
「別に敬語じゃなくていいよ。」
と言った。
笑われたことにむっとしたが、段々こんな世界で真剣な私が可笑しくなってきた。
「じゃあ、ありがとう。」
そう言って私は城をあとにした。
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