夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。

夕方

ウサギから着信があった



《ウサギ》



「もしもし…」



何があっても

次の日には普通で



「もしもし
オマエ、今日来なかった?
体調悪いの?
昨日もしかして無理させたかな?って…」



会ったら普通でいれる自信がなかった

だから休んだ



「ぜんぜん
どこも悪くないよ

ただちょっと休みたかっただけ…」



どぉして

こんな私を心配してくれるの?



「もしかして、オレのせい?
昨日ちょっと言いすぎたかな…って…
それなら謝るけど…」



なんで謝ってくれるの?



謝らなきゃいけないのは

私の方なのに…



「ぜんぜん
ウサギは謝ることなんて何もないよ

ウサギが言ってくれたことは
全部ホントのことだし…」



ウサギは詐欺師なんかじゃなくて

裏も表もなくて

騙すとか嘘とかない



いつも嘘をついてるのは





「まぁ、がんばれよ
早くカレシできるといいな…」



たぶん今のも

ホントの気持ち



なんで

応援なんかしてくれるの?



辛い



静かに

また涙が頬を伝った



電話でよかった



「あのね…

私、フラれたんだよ

昨日、フラれたの」



「え…マジ…?」



「うん

だから、もぉ…誰も好きじゃない」



誰も好きじゃない



私だけ

ウサギのこと好きなんて

ズルいよね



そう思って

昨日

区切りをつけた



もぉ

ウサギのこと

好きじゃない



「あ、心配しないでね
元気だから…

明日からまた講義行くし
ぜんぜん大丈夫だから…」



流れる涙を拭きながら

明るく話した



胸がズキズキして



「あ、ごめん
ママが呼んでる
電話切るね
じゃあ、また明日…」



早く切りたかった



また嘘をついた



明日は

行けるかな?



明日は

普通に

おはよって挨拶できるかな?



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