夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。
ウサギのアパートに
コートを取りに来た
「ありがと」
「着てみてよ」
「うん
雪が降ったら着る」
「今着てよ」
「ヤダ
恥ずかしい」
「いいじゃん
オレが買ったんだから見る権利くらいある」
そーだね
雪が降ったら…
それまでいるかわからないしね
明日は
どぉなるかわからない
ウサギの前で
コートを羽織った
グレーでフワフワしたコート
「オマエ、兎みたいだな」
「やっぱり似合わないかな?」
「誰もそんなこと言ってない
かわいいよ」
ウサギと目が合った
恥ずかしくて
コートを頭から被った
「ちゃんと着てよ」
「やっぱり、恥ずかしい」
「なにが?
恥ずかしくなんかないから…」
だよね
恥ずかしがってる自分が恥ずかしい
でも
「やっぱり、ヤダ…」
コートの中にひきこもった
「なんで?
オレとオマエしかいないし…」
ウサギが
被ったコートの中に入ってきた
え…
近い
ホントに
私と
ウサギしか
いない
コートの中が
熱くなる
ウサギの吐息がかかる
私の心臓の音は
してないかな?
ウサギの手が
私の頬に伸びた
もっとウサギが近くなる
薄暗いコートの中
ウサギと目が合う
なに?
何が起きてる?
ドキドキしすぎて
ウサギから離れた
被ったコートが
私から滑り落ちて
視界が明るくなった