夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。

ウサギのアパートで

ウサギとふたり



なにしてるんだろう?

私たち



「ん?…ウサギ?
今、なんかしようとした?」



「いや…別に…」



ウサギが目をそらした



ウサギが触れた頬が

熱い



ウサギ

耳赤い



「ウサギ…?」



「なんか…しようとした」



「ん…?…なに?」



「キス、しようとした
オマエが、かわいかったから…」



え…



キス?

かわいかった?



なに?



「ありがと
かわいいコート買ってくれて…」



キス

2文字は無視した



「コートじゃなくて…

オマエがかわいくて
キスしたくなった」



その2文字に

動揺する



「そーゆーのって…
私、したことなくて…

キスって
好きな人とするんだよね?」



ウサギは

まだ

私のこと好き?



「だから…
オマエもカレシできた時のために
練習しておいた方がいいと思って…」



「練習?」



「どんな気持ちかな…とか…」



「どんな気持ちなんだろう

好きな人とキスするって…」



ウサギとまた目が合った



「ごめん、オレ変なこと言ってるわ

練習とか…
そーじゃなくて…

オレ、まだオマエのこと好きだから…」



目の前にいる

好きな人がそう言ってくれてるのに



私はその人を

好きにならないようにしようとしてる



また

苦しくなる



「ごめん…私の方が変かも…

コート着て帰るね
ありがと」



また

ウサギの気持ち

無視した



最低だ





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