夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。

お菓子の当たりはなかなか出なくて

それでもいつも楽しそうに箱を開けるユメカ



なのに時折

冷めた顔をしてる



オレを見てるみたいだった



幼少期からしていたサッカー

中学で初めてもらった背番号

試合の前の日

両親を交通事故で失った



もちろん試合に出ることはなく

サッカーさえも辞めてしまった



オレはきっと

背番号をもらうことより

ずっと応援してくれてた両親に

サッカーしてるところを見せたかった



見せたかった人が

いなくなった



期待がなくなったら

目標もなくなった



ユメカは子供の頃から

何箱開けたかわからないお菓子を

今日も開ける



「あー、またハズレた」



それでも

ユメカは楽しそうで



くだらないなんて思ったことが

申し訳なくなった



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