夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。

1年の夏休み



オレのアパートに来た帰り

ユメカは病院に運ばれた



暑い日だったから

熱中症かな?なんて

その程度に思ってたけど



ユメカはなかなか退院できなくて

心配になった



あの日

オレと少し言い合いになって

アパートを出て行ったあと

ユメカは倒れた



オレにも責任があるような気がしてしまって

できるだけ病院に通った



そんなある日

ユメカのお母さんから聞いた



ユメカは

手術しなければいけない病気を抱えてる



子供の頃からの病気で

なかなか難しい手術らしい

日本ではできないらしい



今までユメカがこわがってしなかったけど

いよいよしなければいけないかもしれない



複雑な気持ちになった



ユメカの病気治ってほしいけど

きっとユメカにとっては

手術するのもこわいんだろうな



オレの前で笑うユメカは

元気で

病気なんかに見えなかった



どんな病気なんだろう?



手術って

どれくらいの成功率なんだろう?



自分でもいろいろ調べた



時折見せるあの冷めた顔は

病気のこと気にしてたんだろうな



ユメカのためにできること

何かないか考えた



何もなくて

自分の無力さを感じた



オレって

何もない



目の前で笑うユメカに

ただ毎日適当に生きてる自分の命を

あげたいと思った



でも

オレも



この子の笑顔をもっと見たいな…

そう思うようになってた



オレも

生きたい



死にたくないな



せめて

ユメカが

笑ってる間は



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