夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。
「ただいま」
ユメカが帰って来た
「おかえり」
1年ぶりなのに
普通すぎるだろ
「ウサギ、待ってた?」
「うん、待ってたよ」
先にユメカが
オレに触れた
バイト帰りの外灯の下
ユメカがゆっくり
オレに抱きついた
「温かい…
…
ウサギだ…」
「オマエ、待ち伏せとかすんなよ!
言ってくれたら迎え行ったし…」
「その言い方…ホントに、ウサギだ」
「風邪ひいたらどーすんだよ」
「ホントは、優しんだよね
…
ホントに、ウサギだ」
オレに抱きついて
ユメカは微笑んだ
外灯に青白く照らされるユメカの頬に
ゆっくり触れた
冷たかった頬が
すぐに温かくなった
「オレも…ユメカも…生きてる」
「うん…生きてるよ
…
ウサギに早く会いたかった」
ユメカを
思いきり抱きしめた
「ウサギ…待っててくれて、ありがと」
ユメカを待ってたこの1年
生きてたようで
生きてなかったみたいだった
ユメカが心配だった
ユメカの温もりのない日常で
ユメカを待ってた