夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。

「傷、どこ?見ていい?」



「うん…

ココ…」



ユメカがそっとシャツをあげた



白い肌に前はなかった傷ができてた



「痛くない?」



ゆっくり触れた



「うん、もぉ痛くないよ」



「がんばったね」



ユメカ

きっと痛かったよね



こわかったし

不安だったよね



「ウサギ…泣いてる?」



自然と涙が出てた



「ウサギ、やっぱりヤダった?
気持ち、悪い?」



ユメカがシャツで傷を隠した



「違う

ごめん…
オレ、何もできなくて…」



傷を見て

自分の無力さを感じた



「手術しようって
決意させてくれたのはウサギだよ」



ユメカがオレの涙を拭ってくれた



「この傷も含めて
生涯、ユメカを愛します」



「よろしくお願いします」



生きようって

決意させてくれたのは

ユメカだった



ありがとう

ユメカ



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