夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。

目を開けたら



ウサギがいた



「…ん…?」



「オマエ昨日なんだよ!
途中で通話終わるし…
心配でメッセージしても
ぜんぜん返事こねーし!」



「え…」



スマホを見たら

ウサギからのメッセージが何件もきてた



「なんだよ
生きてんじゃん!
心配して損したわ」



「ごめん…寝落ちしたみたい」



ホントは故意に通話を切った



「は?心配して損したわ」



「ごめん…まだ生きてた」



「なに謝ってんだよ
生きてなかったら
退院しても一緒に海行けないし…」



「海、行くの?」



「オマエが行きたいって言ったんだろ!
別に夏じゃなくても海やってるから…
1年中やってるから…
あ、水着とか着たかった?
着たかったら着てもらってもいいよ
仕方なく見てやるから」



「私はいいや…
ウサギ着てよ
寒中水泳ってホントにできるのかな?」



「オマエねぇ…
その性格…」



あ、髪もボサボサだった



慌てて整えて無理矢理結んだ



「なんで急に来たの?
まだ面会時間じゃないよね?」



「だから、オマエが心配で…
無理に入れてもらった

まぁ、いいや…
オマエ生きてたなら、帰るわ」



「え…もぉ帰るの?」



「え…もっといてもいいの?」



「え…帰りたかったら帰ってもいいよ」



「え…
オマエさ…

じゃあ、オマエが朝食食べ終わるまでいる」



「え…うん…いいけど…」



素直に言えない



もっといてほしいって



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