夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。

今日は

雪が降るんじゃないかってくらい

寒い



新しいコート買おうかな…



店頭に飾ってあったコートを見て思った



髪が伸びたからか

最近

弟の服が似合わなくなった気がする



なんとなく美容院に行かなかったら

肩まで髪が伸びた



ちょうど耳が隠れて

寒くなくていいや



コート買わなくてもいいか…

あと何回着れるかわからないし



来年は

もぉ着れないかも…



入院してから

そんなことばっかり思う



相変わらず

手術をすすめられるし…



ホントは今年流行りのコート欲しいな…

女の子ぽいコート欲しいな…



でも

病気が邪魔して

目の前にある簡単な事でさえ

すぐ諦めてしまう



女の子ぽくして

どぉするの?



誰が見てるの?

誰に見てもらいたいの?



ね…

買ったって意味ないよ



自分でおかしくなった



「お客さま
そちら今日入荷したばかりなんですよ
よかったら試着してみますか?」



お客さまって

私ですか?



店員さんに話し掛けられた



やっぱり欲しいな

かわいい



「あ…でも…」



コレ

着たら買いたくなるヤツ



でも

買っても意味ない



「試着しなくていいです!」



私じゃない誰かが

先に答えた



「え!?」



後ろにウサギがいた



やっぱり似合わないよね

わかってるよ



買わなくて正解!



「コイツ絶対それ似合うんで
それください!」



「え!?」



「ありがとうございます
すぐにお包みしますね
店内でお待ちください」


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