夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。
外に出たら
白い息が上に上がって
白い雪が
下に降りてきた
「あ…雪…」
「オマエが寄り道してたから…」
「スミマセン
…
私、傘さすよ!
貸して…」
ウサギの手から
黒い傘を取って開いた
「オマエの方がチビなんだから
オレが持つよ
貸して…」
「いいよ
私のせいで雪が降ったんだし…」
「いいよ
オレが持つから
オマエ、コート持て!」
「コートも持つけど傘も持つ!」
「手、疲れるし
冷たいだろ…」
傘を持つ私の手に
ウサギの手が重なった
傘が軽くなって
手が温かくなった
私の手が疲れないようにしてくれてる
私の手が冷たくないようにしてくれてる
「これならいい?」
傘の中で
ウサギと目が合った
ドキドキして
離れようとしたけど
ウサギに手を掴まれてた
「ん、うん…」
頷くしかなかった
そのまま下を見て歩いた
ウサギの笑い声が聞こえて
また上を見た
「コレ…
久しぶりに見た」
『オマエは呪われる』
「ウサギが書いたんだよね」
「うん
オレなら笑うけどね」
「私も笑う」
そう言って笑った後に
私って
呪われてるのかな?
頭を過ぎった
なんか
悪いことしたかな?
だから
病気なのかな?
だから
手術しなきゃいけないのかな?
だから…
好きな人が隣にいるのに
大好きって
言えないのかな?
「ん?どーした?」
「んーん…なんでもない」
黒い傘みたいに
気持ちも黒く塗り潰された気分だった