社長の渇愛
それから一週間程経った頃━━━━━━

その一週間。
朝家を出ると、高級車が止まっていて亜伊と一緒に出勤し、帰りも亜伊と一緒に食事(心花の食べたことないような高級店)

そのままマンションに連れていかれ、日付が変わる前まで抱かれ家に歩いて帰る。

そんな生活を、送っていた。


『━━━━ごめんね。ほんとはデートに行きたかったんだけど……』
「いえ!そんなこと。
亜伊は、社長さんなんだしお忙しいですもんね!
大丈夫です!」

土曜の朝。
急な仕事で、会うのがキャンセルになり電話をしていた。
『あ、もう行かなきゃ!』
「はい!お仕事、頑張ってください!」
『ん。ありがと。電話は出れるから、いつでもかけておいで?』
「あ、はい!」


「んーー!久しぶりの一人だなー」
ベッドにゴロンと横になり、伸びをする。

「心花ーー!いるんなら、買い物頼みたいんだけどー!」
「はぁーい!」
一階から母親の声がし、心花は買い物に出かけた。


目的の物を買い、家に帰る途中……
「え………」


「みーちゃん、久しぶり!」


「あ…あ…う、嘘…」
高校の時の恋人で、心花をどん底に突き落としたストーカー男・仁朗(じろう)がいた。

「やっと見つけた!」
心花は、咄嗟に防犯ブザーを取り出す。
倉澤ガードの防犯ブザーで、直接警察に通報できるのだ。
GPS機能もついていて、例え声が出せなくても居場所がわかるようになっている。

「こ、来ないで!」
「その首、どうしたの?」
「え?」
「それ……どう見ても、キスマークだよね?」

「━━━━━!!!?」
仁朗を包む雰囲気が、黒く落ちる。

「なんで!!?」
「仁朗…く…?」
「僕がいるのに、なんで他の男に抱かれたの?
みーちゃんは、そんな悪い子じゃないはずだよ!」
「私はもう!仁朗くんの恋人じゃないよ!!」

「はぁぁ!!?
んなわけないだろ!!?」

(早く、警察来てーー!)
心花は必死に防犯ブザーを握りしめる。


しかし、来るわけがない。
だって今心花が持っている防犯ブザーは、全く機能してないのだから。

亜伊が、隙をついて見た目が全く同じの機能しない防犯ブザーに取り替えたから。


「さぁ、おいで?みーちゃん。
僕達のお家に帰ろ?」
両手を広げ、近寄ってくる仁朗。

「助けて!!誰か!
亜伊!!助けて………!!」


また、あの地獄の日々が始まる。
そう思うだけで、身体が震え息が出来なくなり足がすくむ。

毎日の長電話に、長文のメール。
心も身体も拘束され、少しずつ自我がなくなってく。

~~~~~♪♪
そこに、心花のスマホの着信が鳴り響いた。
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