社長の渇愛
一目惚れと切望
亜伊の会社・倉澤ガードは、全国的に有名な警備会社である。

倉澤ガードは120パー安心と言われている、No.1の警備会社だ。

セキュリティは万全で、政財界や裏の世界のほとんどが、倉澤ガードを利用しているといっても過言ではない。



そんな国内最大を誇る会社の社長、亜伊。

そんな亜伊と心花の出逢いは、本当に偶然で運命だ。


満月の夜の公園。
亜伊のマンションの近くにある公園だ。

仕事帰りに、缶ビール片手に向かった亜伊。

普段の亜伊は、会員制のバーやレストラン、料亭等の高級なところにしか行かない。

しかし缶ビールで気兼ねなく一人で外飲みをするのが、密かなストレス発散だ。

しかもこの公園は少し目立たない所にある為、あまり人が来ない。


いつも座るベンチに座り、缶ビールの栓をあけた。
「んー、旨っ!!」
そして空を見上げた。
丸い月がとても綺麗で空も綺麗に澄んでいた。
「星、凄っ!!」

しばらくボーッと見上げていると………

タタタタッと駆けてくる足音がして、女性が公園に走って入ってきた。
思わず亜伊も、そちらに目を向けた。

その女性は、亜伊のちょうど斜め前のベンチに座った。
そして女性は、空を見上げる。


━━━━━━━!!!!?
真っ暗な公園。
この公園は、街灯がない。
月の光だけしかないその空間で、亜伊にははっきり見えた。

見上げた女性の目から、涙が流れたのを…………

綺麗だ━━━━━━

亜伊は静かに立ち上がり、女性に歩み寄った。
女性の前に立つと「どうぞ?」とハンカチを差し出した。

「え……!?」
弾けるように、亜伊を見つめる女性。

「綺麗な涙だけど、悲しそう…
だから、拭いて?」
「あ…だ、大丈夫です。
自分のハンカチがあります……」
そう言って、バックからハンカチを取り出し目元を拭く。

「隣、いい?」
亜伊が聞くと、ゆっくり頷いた女性。

「名前は?
俺は、倉澤 亜伊」
「真田 心花です」
「心花…可愛い名前!」
「倉澤…って、倉澤ガードの社長さんですか?
………ってそんなわけないか!」

「え?どうして?」

「………私、倉澤ガードに就職したかったんですが、内定取れなかったから……」
「へぇー!どうして入りたかったの?」
「私、高校生の時にストーカー被害にあってたことがあるんです。元彼に……」
「そう…ごめんね、嫌なこと思い出させたね……」
「あ、いえ!その時に、倉澤ガードに助けられたんです。倉澤ガードの防犯システムのおかげで、今も守ってもらってるから」

「それで、働きたいってことか!」
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