社長の渇愛
「こうゆうシチュエーション、ドラマでよくあるよな……」

会社の会議室。
壁に追い詰められている、心花。

頬や首にキスしながら、手はスカートの裾からまさぐっている。
「亜伊…ここでは…////」

「━━━━━俺を拒むな!!
ほら、もっと俺を欲して?」
「あの、私…」
「心花、俺の首に腕を回して?」

「御笠さんとは何も━━━━━━」
口唇を塞がれた。

「……この状況でよく御笠の名前を出せるな。
心配しなくても、わかってるよ。
桜田のことだろ?
話、聞いてたから」
「え……」
「大丈夫。俺がご両親のことは守ってやる」
「でもそれじゃ、亜伊が…!!」

「フフ…心配してくれて、ありがとう!
でも、俺を誰だと思ってんの?」

「亜伊…」
「ね?だから、安心して俺を欲して?
はい、腕を回して?」
亜伊は心花の手を持ち、自身の首に回した。

「いい?もう…俺のことだけ考えてね……」
と、耳元で囁いてググッと一気に繋がった。

「んんぁ!!!?」
心花は一気に突かれ、目の前がチカチカする。

「心花、俺を見て?」

「んんっ…はぁ……亜……」
「心花…エロッ…!!
俺も、興奮する……
心花、キスしよ?」

「ん……むふぅ…亜…伊……」
「心花…愛してるよ……」

心花は必死に亜伊の首にしがみついていた。


『━━━━━サクラが?』
「そう。桜田が嗅ぎ回ってたみたいだ」
心花を勤務に戻し、社長室で黒滝に電話をかけている亜伊。

『サクラ…が…?』
「お前の弟分だろ?」
『あぁ…でもなんで……』
「黒滝、どうする?」
『は?』

「桜田さぁ、心花を脅してきたんだ」

『………そう…』
「どうして欲しい?俺は、地獄に落とす準備できてるよ」

『“俺”も行く』


社長室を出て、エントランスに向かう。
「社長、行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃい、亜伊」
如月と心花が、受付から頭を下げる。

「心花」
「はい」
「今日は、遅くなりそうなんだ。
先に帰っててくれる?」
頭をポンポンと撫で言った、亜伊。

「あ、はい。わかりました…」
心花の瞳が切なく揺れる。

「…………寂しい?」
亜伊の手が頭から頬に移動する。

「うん…」
思わず、本音を言ってしまう。
「…………ごめんね。できる限り、早く終わらせるから」

「あ!いや、違います!
大丈夫です!家で待ってますね!」
「心花」
「はい!」
「本音、言っていいんだよ?
もっとワガママも言って?」
「でも、亜伊を困らせたくないです…」
ゆっくり頬を撫でる亜伊を見上げ言った。

「心花」

「え?は、はい!」
「我慢、遠慮、気遣い…それ等の感情は、必要ない」
「え?亜伊…?」



「心花に必要なのは、俺に対する依存、欲望だ」
亜伊は、親指で心花の口唇をなぞり言ったのだった。
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