【短編】今宵、君の腕の中
間の抜けた声を出す隼が可愛くて、クスクスと笑いが込み上げてくる。
「姶良、えらく余裕みたいだけど……この状況、わかってる?」
「わかってる、よ……?」
覆い被さっている隼が、さっきの私と同じように耳許で甘く低い声で囁いてきて。
私は絡めていた腕を緩めて、隼を見上げた。
「だって……、私、隼が好き……」
すぐそこに隼がいることが嬉しくて、隼が好きすぎて……
泣き出しそうなくらい、愛しい気持ちが抑えられずに溢れ出てくる。
「…ッ、もう知らねー…」
そう隼の声が微かに聞こえたあと、私は抱き締められていて。
私に優しく触れてくる隼に、
心も体も……甘く愛された―――