【短編】今宵、君の腕の中
「冷たくしてたつもりは無かったんだけど…、結果的に姶良を避けるようにはなってたかも。」
ドクッ…と、気持ち悪いくらいに胸がざわついて、一気に不安が押し寄せる。
これ以上、話の先を聞いても……大丈夫?
「……不安そうな顔しなくても、そんなに大した理由じゃないから。」
「じゃあ…、何?」
私がわかりやすいくらい不安げな表情を浮かべていたのか、隼は私の体を引き寄せてそう言った。
「あんまり、言いたくないんだけど……」
私をチラリと見て、困ったような顔をする隼に、更に胸のざわつきは増していく。
言いたくないってことは、やっぱり良くないこと…?
「隼…、他に好きな人出来たの?」