【短編】今宵、君の腕の中
ねぇ…、
なぜ、冷たくしたり優しくしたりするの?
真実なんて怖くて聞けないくらい、私は隼が好きで好きで堪らないから。
もうこの関係を……恋人の距離を壊せないよ?
今更、幼馴染みになんて戻ってあげられない……
そっと隼の手を握ったら、
ギュッ…と握り返してくれて。
隼の外気で冷たくなった手と繋がる。
久々に触れた隼の手が、愛しくて恋しくて……
部屋に着いたらきっと離れてしまうけど、今だけは繋がっていられることが嬉しくて。
私の瞳からは、
涙が一粒、
雫となって落ちていった―――