お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
 翌日は土曜日なので、朝のアラームはセットしていない。
 いつのまにか眠ってしまっていて、自然と目が覚めたときカーテンの隙間から入る光で外が明るいことがわかった。

 変な体勢で寝てしまったけど今何時だろう、と頭を上げた瞬間体が硬直する。

 わたしはカーペットの敷かれた床にクッションと共に座り、ソファの端へ頭をうつ伏せて寝ていたようだ。そして、なぜか右手がソファを使って寝ている涼本さんの左手とくっついているというか、握られている。

 なんだろう、この状況。ええっと、深夜までふたりでお酒を飲んでいて、それで涼本さんがうとうとし始めて『そろそろ寝るか……』とソファに体を倒して……。
 わたしは『眠るならベッドに!』と慌てて肩を揺すっていたけれど、彼は起きてくれなくて。

 自分がベッドを使うのはやはり申し訳なく感じ、どうしようかなと思いながら床に腰を下ろして、眠っている涼本さんのことを見ていた。

 そうしたら、わたしもそのままの状態で眠ってしまったようで……この手は、寝ている間に握られたということになる。

 無意識に、というやつかな?
 わたしよりも大きくて指が長くて綺麗な涼本さんの手を見つめながら、この状態をどうしたらいいのかと考える。

 とりあえず、離れるべきだよね。涼本さんの寝顔を見ながらここで眠ってしまったなんて、本人に知られたら居た堪れないし。

わたしはそっと、握られている手を動かした。
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