お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
お風呂上りの涼本さんと目が合い、慌てて笑みを浮かべてみたけど、彼はなにか考えるようにわたしを見た後、口を開いた。
「悪い、リビングに入ろうとしたとき、君が電話で話している声が聞こえたんだ」
「……えっ!?」
わたしは焦った声を出す。
話している声が聞こえたって、まさか、わたしが涼本さんのことを話していたのを聞かれてしまった?
「あ、あの、涼本さん、わたし……」
「まだここにいたいと思うのなら、いればいいよ」
胸の鼓動が大きく高鳴って、わたしを見つめる涼本さんから目が逸らせない。
話を聞かれてしまった恥ずかしさだってあるのに。
「君がいてくれると心地いいんだ」
どういう意味なんだろう。なにか反応しようと思うのに、頬が熱くなるばかりで言葉が出ていかない。なにかを期待しているなんて思われたら、居た堪れないのに。
黙っているわたしに涼本さんは、はっとしたような表情になった後すぐ、額に手を持っていった。
「……いや、俺はなにを言っているんだろうな。とにかく、迷惑だなんて思っていないし、遠慮はいらない。住む場所の件、本当はまったく大丈夫ではないんじゃないか?」
「えっと、はい、実は……」
「それなら、ここにいろよ」
ドキドキして混乱しそう。彼の言葉が何度も頭の中で響く。
わたしの香水が気になっていただけのはずなのに、優しすぎるよ……。好きな人に『ここにいろよ』なんて言われたら、一緒にいたいって気持ちがあふれてしまう。
固まって涼本さんを見ていると、彼がソファの横まで来て首を傾ける。
「……ダメか?」
「いいえ、そんな、このまま住まわせてもらえるのはとてもありがたいです! 正直、来週から住む場所はどうしようかと思っていたので……」
わたしの様子を気にするように尋ねてきた涼本さんに、焦りながらそう言った。彼が自分のことをとても必要としてくれているように感じてしまって、先ほどからずっと胸の鼓動が速い。
涼本さんは、ただの親切心。困っているわたしを放っておけないんだ。最初に涼本さんの部屋に来たときだって、『放って帰るのは忍びなかった』と言っていたから。
絶対、特別な意味はない……。
言い聞かせるようにそう思っていると、わたしを見ていた彼が目を細めた。
「しばらくここに住むってことでいいよな?」
「……すみません、お世話になります」
ほんのり湿った長めの前髪を揺らして、小さく口もとを緩めた涼本さんに、わたしは頭を下げた。
もっと彼のそばにいたいって、思ってしまったから。
好きって気持ちだけで浅はかだと思うけれど、ときめく想いは止められなかった。
「悪い、リビングに入ろうとしたとき、君が電話で話している声が聞こえたんだ」
「……えっ!?」
わたしは焦った声を出す。
話している声が聞こえたって、まさか、わたしが涼本さんのことを話していたのを聞かれてしまった?
「あ、あの、涼本さん、わたし……」
「まだここにいたいと思うのなら、いればいいよ」
胸の鼓動が大きく高鳴って、わたしを見つめる涼本さんから目が逸らせない。
話を聞かれてしまった恥ずかしさだってあるのに。
「君がいてくれると心地いいんだ」
どういう意味なんだろう。なにか反応しようと思うのに、頬が熱くなるばかりで言葉が出ていかない。なにかを期待しているなんて思われたら、居た堪れないのに。
黙っているわたしに涼本さんは、はっとしたような表情になった後すぐ、額に手を持っていった。
「……いや、俺はなにを言っているんだろうな。とにかく、迷惑だなんて思っていないし、遠慮はいらない。住む場所の件、本当はまったく大丈夫ではないんじゃないか?」
「えっと、はい、実は……」
「それなら、ここにいろよ」
ドキドキして混乱しそう。彼の言葉が何度も頭の中で響く。
わたしの香水が気になっていただけのはずなのに、優しすぎるよ……。好きな人に『ここにいろよ』なんて言われたら、一緒にいたいって気持ちがあふれてしまう。
固まって涼本さんを見ていると、彼がソファの横まで来て首を傾ける。
「……ダメか?」
「いいえ、そんな、このまま住まわせてもらえるのはとてもありがたいです! 正直、来週から住む場所はどうしようかと思っていたので……」
わたしの様子を気にするように尋ねてきた涼本さんに、焦りながらそう言った。彼が自分のことをとても必要としてくれているように感じてしまって、先ほどからずっと胸の鼓動が速い。
涼本さんは、ただの親切心。困っているわたしを放っておけないんだ。最初に涼本さんの部屋に来たときだって、『放って帰るのは忍びなかった』と言っていたから。
絶対、特別な意味はない……。
言い聞かせるようにそう思っていると、わたしを見ていた彼が目を細めた。
「しばらくここに住むってことでいいよな?」
「……すみません、お世話になります」
ほんのり湿った長めの前髪を揺らして、小さく口もとを緩めた涼本さんに、わたしは頭を下げた。
もっと彼のそばにいたいって、思ってしまったから。
好きって気持ちだけで浅はかだと思うけれど、ときめく想いは止められなかった。