お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
 うれしい。わたしなんか相手にされないって思っていたのに、こんなふうに彼の腕の中にいる。

 そっと体が離れて涼本さんの顔を見上げると、わたしに優しい眼差しを向けてくれていた。

「俺の恋人になってほしい」

 ぼうっとするわたしの耳もとに唇を寄せた涼本さんが、囁くようにそう言った。
 ドキドキしながら頷くと、彼は目を細めてからわたしの額に軽くキスを落とした。

 そして惹かれるようにお互い唇を近づけて重ねる。深く入り込んできた舌にビクッと体が反応して、熱っぽい息が漏れた。

 ときめく想いで苦しいくらいに胸が高鳴る。
 キスの後、遠慮がちに彼の胸にくっつくと小さく笑う声が耳に届いて、わたしは恥ずかしさでいっぱいになったけれど、それ以上に幸せな気持ちになった。
< 81 / 110 >

この作品をシェア

pagetop