お昼寝御曹司とふたりだけの秘密



「お疲れ」

「ひゃっ……!?」

 休憩スペースの長椅子に座って休んでいると、後ろから突然頬に冷たいペットボトルを当てられたわたしは、驚いて変な悲鳴を上げながら振り返った。

 そこにはいたずらっ子のような顔をした神坂さんがいた。

「びっくりしたじゃないですか……!」

「通りがかったらぼうっと脱力しているからさ。ほら、これやるよ」

「えっ、ありがとうございます」

 神坂さんはわたしにペットボトルのお茶を渡してきて、隣に座った。
 そういえば、神坂さんに会うのは涼本さんに気持ちを伝えた日以来だ。

 涼本さんと付き合っていますって、報告するべきだろうか? いや、こういうのってわざわざ言わなくてもいいかな。

 でも、神坂さんにはちょっと話を聞いてもらったっていうのもあるし……。

「お前、俺にお礼の弁当作るのを忘れてただろ?」

「あれって冗談じゃなかったんですか!?」

「本気だったけど? お前からの礼を待ってたんだけどなぁ」

「いや……そんな、すみません……!」

 今からでもなにか、買ってくる!? 菓子折りとか!?
 慌てるわたしを見て、神坂さんは笑った。

「嘘、冗談だ。でも涼本は俺の発言を気にしたのか、高級焼肉弁当を俺に寄越したよ」

「えっ!? どうして……涼本さんはなにも言っていませんでしたけど」

「俺がお前の手作り弁当を食うなんて、許せないと思ったんだろ。あいつ、意外と嫉妬深かったりして」

 意地悪っぽい表情をしてそう言ってきた神坂さん。
 わたしはなんだか照れてしまい、反応できなかった。
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