お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
　涼本さん、本当に嫉妬とかするのかな？　あれ、でもこんな話を神坂さんがわたしにしてくるということは……。

「あの、涼本さんとわたしのこと……」

「涼本から聞いたよ。よかったな、上手くいって」

「……ありがとうございます。まだ、その、自分でも付き合えたことにびっくり状態なんですけど」

「まだそこかよ？　もう随分時間経ってるだろ」

「だって、全然慣れるわけがないので！」

　神坂さんは呆れたような顔をしている。

「まあ、どうでもいいけど。自信持てよ。俺が見ている限り、あいつは結構お前のこと好きだと思う」

　そう言って立ち上がった神坂さんを目で追うと、彼はいたずらっぽい笑みを浮かべていた。

「お前のこと励ましたから、涼本からまた高い弁当貰おうっと」

「……小学生みたいですよ？」

「言うようになったな、お前。涼本に報告しておく」

「や、やめてくださいね!?」

　からかうような笑いとともに去っていく神坂さんを見送った後、彼が先ほど言っていたことを思い返す。

　涼本さんがわたしのことを好きって、周りからもそう感じるんだ。
　くすぐったい気分になっていると、ふたりの女性がわたしに向かって歩いてきた。

「あの、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」

「……はい？」

　他部署の女性社員だ。話したこともない人たちなので、突然声をかけられたわたしは、なんだろう？と首をかしげながら立ち上がる。
< 85 / 110 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop