もどかしいくらいがちょうどいい
「この前チカがインスタで上げてたクレープめちゃ美味しそうだよね?」
「分かるー今度行こうよ」
「土曜は開いてる?」
「無理、彼氏とデート」
「うわどや顔うざ」
「てか、昨日上げてた動画見た!?」
「見た! あのくだり何回見ても飽きないわー」
「それな」
「そういえば、B組の成瀬くんさ……」
「──で。鈴木ちゃんは?」
「……え?」
不意に集められた視線にわたしはぴくりと肩を震わせる。
曖昧に笑みを浮かべると、絶妙な空気がグループ内に流れた。軽快に進んでいた会話が止まって、友人たちが顔を見合わせる。
……あ。この感じ、ミスった。
友人の一人が気まずさを隠しきれない笑みを浮かべた。
「鈴木ちゃんも、日曜いく? クレープ」
「……ぁ、ごめんね。その日予定あるんだ」
「そっかー残念。また今度誘うね」
「……うん」
わたしはまた、赤べこみたいに首を縦に振ってうんうん、分かる、それなーって相槌とも呼べない意味のない言葉を発する作業に戻る。
……ああ。……疎外感……。
好物のはずのミートボールを口に運んだところで、味は全くしなかった。