仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
13、薄れはじめた嫌悪感と増え続ける好感度
ぐんと気候も下がり十一月、桃果とわんわん泣いたあの日から二週間が経っていた。病院の窓からはひんやりと冷たい風が入ってくる。寒いけれど換気のため少しの我慢だ。定期的に玲司から送られてくる花が綺麗に花瓶に飾られ今はアネモネという黄色と白の花が可愛く桃果の病室を明るくしてくれている。
「このお花も可愛いけど、これの前のラ〜、ドラキュラみたいな名前の、ラなんとかってやつも可愛かったよね!」
「ラナンキュラスね。あれはお姉ちゃんも好きだったなぁ。ピンクで可愛かったよね」
「玲司さんのおかげでどんどんお花に詳しくなりそうだよ。学校に行けるようになったらお花係とかないかなぁ」
「そういえばお姉ちゃんが小学生の頃は確かあったかも! あ〜、でも生き物係だったかな? 忘れちゃったや」
「んも〜っ! 思い出してよ!」
「思い出したら教えてあげるわよ」
桃果の病室は花以外にも玲司からのプレゼントで溢れかえりそうになっていた。多分玲司なりの気遣いなのだろうがちょっと与え過ぎな気がする。桃果が勉強をしたいと言ったら筆箱から揃え始め、鉛筆、消しゴム、線引き、カラーペンを一式ネットで注文し、翌日には本屋で大量のドリルを購入して桃果に届けたらしい。