仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
「いいですね、社長。なんだか部屋が明るくなったような気がしますよ」
原口もノリノリで玲司を煽てあげる。写真が増えただけで全く部屋の明るさなんて変わってないわ!
と穂乃果は心の中で突っ込んだ。
「だよね。これでもっと仕事が頑張れそうだよ」
「本当ですね。では私も仕事がに戻りますので何かありましたら呼んでくださいね」
ペコリと頭を下げた原口は秘書室と繋がっているドアから戻って行った。穂乃果はもう何を言ってもこの男には無駄だと思い、写真に対して、こちらからは一言も言わなかった。
ニコニコと嬉しそうに写真を眺める玲司は子供が初めて何かを見るようなキラキラした瞳で写真を眺めていた。その顔がすごく印象的で、多分忘れられないような気がする。
いつまでも写真を眺めている玲司を置き去りにし穂乃果も秘書室に戻ると、原口が大量の紙山を捌いている。ものすごいスピードで。
「原口さん……すごい早いですね。流石です」
「あ、奥様も受け取りましたね。今日中に終わるように頑張りましょうね」
「きょ、今日中……が、頑張ります」
よーしと気合を入れパソコンに向かった。最近自分専用のデスクとパソコンを用意しもらい、なんだか懐かしい気分になる。工場のときもこうしてデスクに座りパソコンをカチャカチャと叩いたものだ。懐かしくて、でもやっぱり悔しくて少し強めにキーボードを叩いた。