仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。

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「ただいま、です」


 玲司の家に帰ってきても未だにただいまと言うのがなんだか慣れない。原口に奥様と呼ばれているのだって本当はしっくりきていないし、できればやめてほしいと思っている。一度普通に名前とかで呼んでくださいと申し出たら却下されてしまったのだ。


「穂乃果。今日は疲れただろう、僕が夕飯の準備をしておくから先にお風呂に入っておいで」
「いいんですか?」


 正直言ってあの大量の紙山の処理に肩が凝って痛いくらいだった。


「もちろんだよ。いってらっしゃい」
「じゃあ、お言葉に甘えて」


 お言葉に甘えて、穂乃果の定型文に追加された文。最近は最初よりも少しだけすんなりと口から出るようになった。少しだけ、玲司への警戒心がうすれつつあるのは自分でも自覚している。なにより夜眠るとき、玲司の腕の中のはずなのにぐっすり眠れてしまうのだ。


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