仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
16
「ん……」
煌々と電気がついたまま寝落ちていた穂乃果は眠い目を擦りながら携帯を手探りで探し当て時間を確認すると既に時刻は夜中の一時を過ぎていた。
「うわ……こんな時間」
もう夜中の一時だというのに玲司の姿がない。今日は自分の部屋で寝ているのだろうか。最初に言っていた。忙しい時は自室で寝ると。けれど玲司はまだ一度も自分の部屋で寝ていない。始めっからずっと穂乃果の部屋で、穂乃果のことを抱き寄せながら眠っていた。
「今日は忙しいのかな」
秘書のアシスタントとして働いていても玲司のスケジュール管理は原口は行っているのでまだ玲司の仕事内容は全て把握出来ていない。でも一緒に働いてみて思うことは、玲司は常に忙しそうだった。
部屋を出て隣の扉を見てみると隙間から明かりが漏れている。まだ玲司は起きていることが分かった。
「ついで、ついでだから」
静かに階段を降り、キッチンに立つ穂乃果。お湯を沸かしそっと紅茶のティーパックにお湯を注いだ。コーヒーと悩んだが夜にカフェインをとりすぎるのも良くないような気がして、控えめに紅茶にした。高級な紅茶なのだろうか、いい香りがふわっと香る。