仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
「でも、会社で印刷会社は大手のとことで決まったんですよね? どうしてうちの工場を?」
「それは……穂乃果が大切にしていた場所だから」
「はい……?」
聞き間違いだろうか?
「穂乃果の笑顔を、大切な居場所を取り戻してあげたかったんだ。僕はね、初めて穂乃果会った時、君に興味があると言って結婚を迫っただろう?」
「そう、ですね」
忘れもしない。父の葬儀の日に現れた玲司は穂乃果のことが興味があるといって結婚を申し出てきた。その日、穂乃果はファーストキスを玲司に奪われたのだから。忘れるはずがない。
「興味があったのは本当だ。もう何年も前から、僕は穂乃果に興味があったんだ」
「は、い?」