仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。


「玲司さん?」


 引かれるままに穂乃果は玲司のあとを付いていくと二階の玲司の部屋に着いた。なにも言わずに扉を開け中に突き進む玲司。手を繋がれたままの穂乃果も一緒に玲司の部屋に入ると、ベットの前で玲司がピタリと止まった。後ろから見る玲司の大きな背中はなんだか怒っているようなきがする。


「僕と穂乃果は離婚したくてもできないんだよ」
「……はい?」


 どういうことだろう。いつものように独占欲をむき出しにしている……とはなんだか違うような。
 ベット横にあるサイドチェスト。穂乃果は知ってる。一番上は鍵がかかっていて開かないことを。
 玲司は本棚に飾られていた写真立てをもってくると鍵を出してきた。赤ちゃんとその両親だと思われる写真。その後ろに鍵を隠してあったようだ。

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