仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。

20、エピローグ



「ももちゃん、ももちゃん! かわいいちょうちょだねぇ」
「本当だね。お姉ちゃんもおいでよ!」


 小さな手をおおきく振っている紬(つむぎ)と一緒にいるのは桃果だ。穂乃果と玲司の間に生まれた娘の紬はもう二歳になる。
 庭に綺麗に咲いているパンジーやチューリップ、ガーベラやマリーゴールド、沢山のキレイな花の周りに飛んでいたモンシロチョウを見つけて桃果と追いかけていた。すっかりガーデニングが趣味になった穂乃果は季節に合わせて沢山の花を植えている。外が暗くても家は明るくなるように。


「紬! こっちに大きいちょうちょがいるよ!」
「え!? どこ? どこ?」


 大きなアゲハチョウが優雅に飛んでいる。見つけた紬はくるっと方向転換をしアゲハチョウを追いかけ回している。紬とアゲハチョウを歩きながら追いかける桃果は一年前、やっと心臓移植の手術を受けられ長い入院生活を終えることが出来たのだ。あっという間にこの春から中学一年生、新しい学校の制服、教科書、沢山のものを玲司が揃えてくれた。

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