仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
「ママ! はやくおいでーっ!」
蝶に夢中の紬の大きな声が庭に響いた。
「はいはい、今行くわよ」
庭に設置してあるガーデンチェアから立ち上り紬と桃果の元へ歩み寄る。
「楽しうだな」
「パパ!」
玲司が帰ってきたらしく庭にひょこりと顔を出した。紬は大喜びで玲司のもとへ駆け寄り、足元で両腕を大きく伸ばして抱っこのポーズをしている。
「ん? 抱っこかな?」
「そーう! だっこだっこ!」
「紬は抱っこが好きなんだもんな。よし、おいで」
玲司は紬の両脇に手を入れぐんっと紬を持ち上げた。嬉しそうに両手足を大きく伸ばした紬のはち切れそうな笑顔につられて玲司も、桃果も、そして穂乃果も笑顔になる。
「玲司さん、おかえりなさい」
「穂乃果、ただいま。今日は仕事が早く終わったんだ。僕も一緒に遊ぼうかな。紬、仲間にパパもいれてくれるかい?」
「なーかま! いっしょにしゃぼだまやろーっ!」
「よし、シャボン玉やるか!」