仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
「みーつけた!」
がばっと後ろから抱き締められる。三人まとめて玲司の腕の中に寄せられていた。
「あはは、みつかちゃったーっ」
紬の見つかって嬉しいと言わんばかりの笑い声につられて全員が顔を見合わせて声を出して笑う。
「三人で同じ場所に隠れるなんてね。パパは見つける天才だぞ?」
「もっかいやるーっ! パパおに!」
紬の大きな声が空に響き、穂乃果は空を見上げた。雲ひとつ無い綺麗な青空。眩しくない、すぅっと晴れた気持ちになれる。
「あ……」
ふわりふわりとたった一つシャボン玉が飛んでいる。紬と桃果が吹いていたものの生き残りだろうか。ずいぶん長く割れないでいたなぁと感心した。
脆そうで、でも粘り強いシャボン玉。ふわふわと光り輝きながら楽しそうに空に浮かんでいるのにいきなりパチンッと割れてしまう。急に訪れる嫌な事のように。それでもまた、すぐに息を吹き込めば新しいキラキラが生まれ出される。新しい、幸せ。
キラキラシャボン玉、綺麗な花にひらひらチョウチョ、隠れんぼしたら大好きな人に抱き締められる。こんな明るい未来が待っていたなんて。
空を見上げていた視線を下に戻した。最愛の娘、これからも守っていきたい妹、一生愛する人。
「穂乃果、どうかした?」
「玲司さん、ううん、なんでもないですよ。ただ……」
「ただ?」