仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
なんだろうと玲司は穂乃果の顔を覗き込む。
「幸せだなぁって」
覗き込んでいた玲司に微笑みかけた。その瞬間ちゅっと軽いリップ音を立てて唇が一瞬重なったのだ。
「っ……玲司さんっ!」
慌てて二人が見ていないか当たりを見渡すが紬と桃果はまた蝶に夢中だったので見られていなくてホッとした。
「別に僕は見られてもいいけどね。だって両親が愛し合ってるなんていいことだと思わないかい?」
「まぁ、それはそうですけど」
ふわりと玲司の大きな手が穂乃果の頭を優しく撫でる。
「穂乃果」
「はい」
「幸せだね」
「はい、幸せです」
また、引き寄せ合うように唇を重ねた。見られたって良い、玲司の一言でそう思えたのだ。
だって、愛し合っているから。