仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
「ここに一人で住んでるんですか?」
「両親と一緒に住んでいたんだけど亡くなってしまったからね。今は一人で住んでいるよ。広すぎて一人だと寂しかったんだ、穂乃果が来てくれて嬉しいよ」
「そうですか……」
本当に嬉しそうな顔をする。この人も両親がいないのか……と、少しだけ親近感を持ってしまった。
「今日からここは君の家でもあるからね。さあ、どうぞ」
開けられた玄関扉、家の中もやはり豪華だった。
「すごい……」
「少し家の中を案内するよ」
広い玄関から始まり、幅の広い廊下を進むとリビンク。大きな窓からは庭が見え、オシャレなアンティーク家具も沢山置いてある。特にリビングに置いてあるソファーは貴族の家にでもでてきそうな足がくにゅんとカーブしているものでお洒落だった。天井は開放感に溢れる吹き抜けで上にある大きな窓からは陽の光がリビングを更に明るくしてくれている。見るもの全てが珍しくて新鮮で開いた口が塞がらない。
リビングだけじゃなく、お風呂もトイレもキラッキラしていて、リビング内にある階段を登っていくと二階には沢山の部屋があった。
「ここは僕の部屋、僕の部屋の隣を穂乃果が好きに使って」
アンティークなゴールドのドアノブに手をかけ、玲司がドアをあけると一人で使うには十分、むしろ広すぎる部屋。しかもベットや化粧台まで用意されている。
「ここ、ですか?」
「そうだよ、気に入らなかったかな? ベットの色もしかしてベージュじゃ明るすぎた? 他の色とも迷ったんだが穂乃果に好きな色を聞いてから用意すればよかったな」
玲司のあきらかにしょんぼりとした顔。出会った時の余裕ある表情しか見ていなかった穂乃果にはかなり新鮮な表情に見えた。