仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
「起き上がれるかな?」
「はい、大丈夫です」
身体をお越しベットから出ようとしたところを止められた。
「僕が食べさせてあげるから、穂乃果はそのままベットにいて、ね」
「すいません……」
白い湯気をゆらゆらさせながらスプーンで掬ってふーふーと食べやすいように冷ましてくれている。その光景を見ながら穂乃果はなんだか少し泣きそうになった。こんな風に誰かに優しく心配してもらったのは久しぶりだ。
「はい、あーん」
「あ、あーんですか? それはちょっと、自分で食べられます」
さすがにあーんは恥ずかしい。
「だめ。僕が穂乃果に食べさせてあげたいんだよ。穂乃果は病人なんだから僕に甘えて、ね?」
なんだか昨日から甘やかされているだけのような気がする。でもきっと玲司は言っても折れなそうだ。
「じゃあ、お言葉に甘えて……」
昨日追加された定型文のお言葉に甘えて、かなりの使用頻度な気がする。