仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
「はい、あーん」
しぶしぶ小さく口を開き、口元に運ばれてきたお粥を食べる。熱すぎず丁度いい。味もシンプルな塩のみなのになぜか凄く美味しく感じた。
「……美味しいです」
(あ、思わず美味しいって言っちゃった……)
「よかった」
安心したようにふわっとした優しい笑顔を玲司は見せた。そして「はい、あーん」とまた口に丁度いい熱さのお粥を運んでくれる。美味しいとちゃんと伝えたから嬉しそうに頬を緩ませているのだろうか? 優しくじぃっと見つめられながら食べるのはなんだか恥ずかしい。
「あの、あまり見ないでもらえませんか……食べづらいです」
「あ、ごめん。可愛くてつい見惚れちゃってたな」
「なっ……」
「ひな鳥みたいで」
……そういうことですか。
「もうお腹いっぱいになりました。薬を頂けますか?」
コップに入った水と錠剤を受け取りさっと飲み干した。
「飲み終わりましたので、寝ます。ご心配おかけしました」
「ん? なんか機嫌悪い?」
「いえ、別に」
別にひな鳥みたいって言われたくらいで怒っていない。多分。