仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。

「電話、社長からか?」
「わぁっ、驚かせないでよ〜」


 西片に後ろから話しかけられ肩がビクリと跳ね上がった。


「なんだって?」
「桐ヶ谷製菓ダメだったってさ」


 言葉にすると現実味が更に湧いてダメージがくる。


「そうか。仕方ねぇな、今の時代は不景気だしな」
「だね、新しい取引先見つかるかな……」
「どうだろうな……じゃあお疲れ様」
「ん、お疲れさまでした。また明日ね」


 時刻は午後七時、従業員がゾロゾロと帰っていく中、穂乃果はまだ帰らない父を待つ事にした。


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