仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。


「夜ご飯でも作ろうかな」


 冷蔵庫にはお肉も入っていたので何をつくろうかメニュー決めにはさほど困らなかった。キッチンを色々物色させてもらい調味料の場所などを確認する。玲司の母がきちんと料理をする人だったのか、それとも玲司がきちんと料理をする人なのか、調理器具は綺麗に手入れされていて、調味料類も通り揃っていた。


(あ、でも玲司さんは簡単なものしか作れないっていってたわよね。見る限り賞味期限もまだまだ先だし、あんまり使ってない。まさかわざわざ全部揃えたのかしら。あ、有り得なくはないわ)


 初日のお風呂上がりの冷蔵庫を思い出した。色んな飲み物がそろった冷蔵庫。いまでも飲んでない飲み物は冷蔵庫の中に残っている。そのことを考えると玲司がわざわざ一通りの調味料を新しく揃えたのではないかと思えてきた。
 穂乃果は手際よく冷めても温め直せる料理の定番肉じゃがと小松菜とキノコ、油揚揚げを入れたお味噌汁を作った。お米も冷蔵庫に保存されていたので何時に帰ってくるかはわからないけれど、とりあえず六時に炊飯予約しておく。


(あとは玲司さんが帰ってくるのを待ちましょう)


 お腹は空いているけれど、家主さしおいて先に食べるのも気が引けたので待つことにした。


(いちよう養われているみだしね……)


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