仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
「ふふ、僕はね、君のその強い瞳も気に入っているから逆効果だよ」
「……それも興味ですか?」
「うん、そうなんだろうね」
近づいてくる唇を避けることはしない。もう、玲司の妻としてこの身を捧げるしかないくらい、玲司には沢山の援助をしてもらっている。
「穂乃果、キスの仕方を教えてあげる。この前言ったように少し口を開けて」
熱を帯びた瞳に、熱い吐息で囁かれドクンと心臓が高鳴った。ズキンと痛いくらい。いつも玲司にじぃっと見られることが多い穂乃果だが何故か今は見つめられることが耐えられなかった。観念したように唇をそっとひらく。
「うん、いい子だね」
「ん……んぅ……」
口腔内を玲司の肉厚な舌が彷徨う。穂乃果の舌を見つけすぐに絡みついてきた、と思えば離れていった。
「穂乃果、舌を使って僕の舌に絡みついてきて」
「な……できません」
まだ理性を保っている穂乃果には無理難題だ。恥ずかしいが勝ってしまう。
「できない、じゃなくてやるだよ? 何事も練習あるのみだ」
「あ……」
ぐっと玲司の顔が近づき鼻の頭が当たる至近距離。玲司は口を少しあけて穂乃果がくるのを待っている。玲司の綺麗な顔に吸い寄せられるように穂乃果を求めてくれている唇にキスをした。もうわけも分からずとにかく舌を言われた通りに玲司の舌に巻きつけると玲司が嬉しそうに答えてくる。キスをするのも、深い口付けをするのも今日が初めてじゃないのになんだかこの前と違う。凄く熱くて混ぜあって溶けてしまうような一体感。相変わらず息をするのは難しくて酸素が足りなくなり苦しくなるけれど、もっとしたい、とまで思ってしまうほど玲司とのキスが気持ちいい。
もう息が限界、そっと離れると玲司の唇がほんのり赤く色づいていた。