【完】ネコ系男子は幼なじみだけに素顔を見せる
話はここまでだ。



渚も分かってくれたみたいだし、今日のところは帰るとするか。



「会計はオレが払う。これでちゃらだ渚」



オレからのせめてもの償い。



もちろんこれで渚や理人の心の傷が癒されるなんてことは考えていない。



彼女以外の誰かを特別扱いすればどうなるか。




確実に悲しませることになるだろう。




それだけは避けたい。




「分かったわよ…。柚弦、1ついい?」



それくらいは聞くか。



「いいよ」



「今までこと悪かったわよ。それと…これからは仕事相手として接する」




渚にもこんな素直なところがあったんだな。




「別に幼なじみなのは分からないんだから。友達くらいならいいよ。じゃあ、また仕事で」




会計を済ませてオレは家に向かって夕日の中を歩いていった。




「全く。柚弦ったら優しいにも程があるわよ。それにしても、柚弦でもあんな顔するのね。ちょっと驚いたわ。心絆が羨ましい」
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