Snow-White
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私が歌えば小鳥も歌う。私が笑えば木々も笑う。
だけど、それは昔の話。
純白の森の中でひとつ、真っ赤な私。
目が覚めれば、真っ白な世界がある。
赤がよく映えそうね。
とても綺麗な世界の中の私。
私は、鏡の前に立つ
真っ赤なドレスを纏った姿に、白い肌、輝くティアラ、
そして綺麗な顔。
今日も美しい姿であった。
鏡に写っている窓には人影が見えた。
「お客さんね、」
バケットバッグを手に取り、外に出る。
「ごきげんよう。
久しぶりのお客さんなの。嬉しく思うわ。」
私は微笑んだ。
お客さんは、張り付いたような笑みを浮かべた。
「あら、今回もあまりお喋りする時間がなかったのね。
さようなら。楽しかったわ。」
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