Snow-White

この世に運命があるのなら、きっと、この事を言うのだろう。

一度別れた彼らと再会したのだから。



だが、彼らといた過去は思い出せず、

思い出す努力もなかった私に、運命などはない。



神様は意地悪だと思う。



「白雪、体調はどう?」



と陸が毎日聞いてくれるが、



「ええ、いつも通り。」



と、そっけない会話で終わってしまう。



「ねぇ、」



と勇気を出して話しかけてみるが、



「ん?」



「ごめんなさい。なんでもないわ。」



と、いつも終わってしまう。





「私って誰なのかしら。」



と、今日は聞いてみた。



「白雪姫だろ?」







私は違和感を覚えた。



何かが違う。





その違和感の正体はすぐに分かった。



昔を覚えている証拠だろうか。



はっきりは思い出せなくても、



思い出してきているのか。









「そうよね、湖波ってどんな子だったのかしら、」



「急にどうした?」




「いえ、何でもないの。


私よりも、美しかったのかなって思っただけよ。」







「白雪姫の方が美しいに決まってるよ。」






< 10 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop