Snow-White
この世に運命があるのなら、きっと、この事を言うのだろう。
一度別れた彼らと再会したのだから。
だが、彼らといた過去は思い出せず、
思い出す努力もなかった私に、運命などはない。
神様は意地悪だと思う。
「白雪、体調はどう?」
と陸が毎日聞いてくれるが、
「ええ、いつも通り。」
と、そっけない会話で終わってしまう。
「ねぇ、」
と勇気を出して話しかけてみるが、
「ん?」
「ごめんなさい。なんでもないわ。」
と、いつも終わってしまう。
「私って誰なのかしら。」
と、今日は聞いてみた。
「白雪姫だろ?」
私は違和感を覚えた。
何かが違う。
その違和感の正体はすぐに分かった。
昔を覚えている証拠だろうか。
はっきりは思い出せなくても、
思い出してきているのか。
「そうよね、湖波ってどんな子だったのかしら、」
「急にどうした?」
「いえ、何でもないの。
私よりも、美しかったのかなって思っただけよ。」
「白雪姫の方が美しいに決まってるよ。」