翠も甘いも噛み分けて
再会
「おい、もしかしてお前、スイか……?」
高校時代の同級生の結婚式で、スイこと伊藤翠は、背後から声を掛ける高橋幸成の声に振り返った。
十年ぶりの再会だ。
身長が少し伸びて、当時はガリガリくんだった体型は、トレーニングで鍛えたのか、あの頃よりも逞しくなっていた。昔は細身のせいで制服のブレザーがブカブカだったのに、今着用しているスーツは身体のサイズに合ったものなのか、とてもよく似合っている。
「うん。久し振りだね、高橋くん」
「うわ、本当にスイだ。お前どうしたんだ? そんなに痩せて……」
幸成が驚くのも無理はない。今、目の前に立つ翠は十年前と比べて体型が激変していたのだ。あの頃はちょっとぽっちゃり気味でも健康的に見えていた体型が、見る影もなくやせ細ってしまい、まるで別人のようだ。頬の肉もこけ落ちてしまったけれど、化粧が苦手なせいで顔に成長がないからか、みんなすぐに翠だとわかる。けれどその変貌ぶりに、過去の翠を知る誰もが驚きを隠せないといった感じで目を丸めている。
高校時代の同級生の結婚式で、スイこと伊藤翠は、背後から声を掛ける高橋幸成の声に振り返った。
十年ぶりの再会だ。
身長が少し伸びて、当時はガリガリくんだった体型は、トレーニングで鍛えたのか、あの頃よりも逞しくなっていた。昔は細身のせいで制服のブレザーがブカブカだったのに、今着用しているスーツは身体のサイズに合ったものなのか、とてもよく似合っている。
「うん。久し振りだね、高橋くん」
「うわ、本当にスイだ。お前どうしたんだ? そんなに痩せて……」
幸成が驚くのも無理はない。今、目の前に立つ翠は十年前と比べて体型が激変していたのだ。あの頃はちょっとぽっちゃり気味でも健康的に見えていた体型が、見る影もなくやせ細ってしまい、まるで別人のようだ。頬の肉もこけ落ちてしまったけれど、化粧が苦手なせいで顔に成長がないからか、みんなすぐに翠だとわかる。けれどその変貌ぶりに、過去の翠を知る誰もが驚きを隠せないといった感じで目を丸めている。
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