翠も甘いも噛み分けて
「スイ、ハンカチ貸して」
「いいよ、ちょっと待ってね」
翠が先に手を洗い、タオルハンカチで手を拭くと、それをそのまま幸成に手渡した。幸成もそれを受け取ると、さっと手を拭き翠にそれを返した。
「ねえ、今更なんだけど、なんで高橋くんは私のことスイって呼ぶの?」
翠はずっと疑問に思っていたことを口にした。確かに翠という漢字は、『スイ』とも呼べるけど戸籍上は『ミドリ』だ。他の友達もミドリと呼ぶだけに、不思議でならなかった。なので、もし勘違いで覚えているなら、この機会にきちんと正したい。そう思っていたのに、幸成からの答えが意外だった。
「んー、最初は俺、本気で『スイ』って呼ぶんだと思ってたんだよな。でも周りの奴の呼び方を聞いていたら違ってたって分かったけど……でも俺の中ではもうスイで定着しちゃってるし、スイはスイーツのスイだから、呼び方を改めるつもりはない」
ここまできっぱりと言い切られたら、翠もああそうですかと言うしかない。幸成以外にスイと呼ぶ人がいないだけに、ちょっと特別な呼ばれ方で自意識過剰になっていたところもあったけど、当の本人はそういうつもりでスイと呼んでいたのではないと分かれば、意識する方がおかしいだろう。
「いいよ、ちょっと待ってね」
翠が先に手を洗い、タオルハンカチで手を拭くと、それをそのまま幸成に手渡した。幸成もそれを受け取ると、さっと手を拭き翠にそれを返した。
「ねえ、今更なんだけど、なんで高橋くんは私のことスイって呼ぶの?」
翠はずっと疑問に思っていたことを口にした。確かに翠という漢字は、『スイ』とも呼べるけど戸籍上は『ミドリ』だ。他の友達もミドリと呼ぶだけに、不思議でならなかった。なので、もし勘違いで覚えているなら、この機会にきちんと正したい。そう思っていたのに、幸成からの答えが意外だった。
「んー、最初は俺、本気で『スイ』って呼ぶんだと思ってたんだよな。でも周りの奴の呼び方を聞いていたら違ってたって分かったけど……でも俺の中ではもうスイで定着しちゃってるし、スイはスイーツのスイだから、呼び方を改めるつもりはない」
ここまできっぱりと言い切られたら、翠もああそうですかと言うしかない。幸成以外にスイと呼ぶ人がいないだけに、ちょっと特別な呼ばれ方で自意識過剰になっていたところもあったけど、当の本人はそういうつもりでスイと呼んでいたのではないと分かれば、意識する方がおかしいだろう。