翠も甘いも噛み分けて
「えっとですね、今の私は見た目が鶏がらみたいで気持ち悪いから、昔の体型でも全然いいって言ってくれまして……」
翠の言葉に、再び周囲がどよめきだす。
「えー、なにそれ、彼氏って伊藤ちゃんの古い知り合い? もしかしてこの前友達の結婚式に参列するって言ってた時に彼氏できたの?」
「わあ、すごい、それって運命の再会ってやつ? いいなあ、ロマンチックで」
「もしかしてその彼、学生時代から伊藤ちゃんのこと好きだったんじゃないの?」
「キャー、そうだったら素敵だね」
翠が口を挟むのも憚られるくらいに勝手に同僚たちだけで話が盛り上がっているので、黙ってお弁当を食べようと箸をつけたその時だった。
「伊藤さん、食事が終わったら資料纏めるの手伝ってくれる?」
背後から浜田に声を掛けられた。翠が振り向くと、浜田はすでに食事が終わったようで食器をトレイに乗せて席を立ったところだった。同僚たちは浜田の声に、ようやく冷静さを取り戻した。翠も慌てて浜田に返事をする。
「あ、はい。わかりました」
「頼むな。じゃあ、俺先に戻ってるから」
浜田の後ろ姿を一瞥すると、翠は改めてお弁当に箸をつけた。
翠の言葉に、再び周囲がどよめきだす。
「えー、なにそれ、彼氏って伊藤ちゃんの古い知り合い? もしかしてこの前友達の結婚式に参列するって言ってた時に彼氏できたの?」
「わあ、すごい、それって運命の再会ってやつ? いいなあ、ロマンチックで」
「もしかしてその彼、学生時代から伊藤ちゃんのこと好きだったんじゃないの?」
「キャー、そうだったら素敵だね」
翠が口を挟むのも憚られるくらいに勝手に同僚たちだけで話が盛り上がっているので、黙ってお弁当を食べようと箸をつけたその時だった。
「伊藤さん、食事が終わったら資料纏めるの手伝ってくれる?」
背後から浜田に声を掛けられた。翠が振り向くと、浜田はすでに食事が終わったようで食器をトレイに乗せて席を立ったところだった。同僚たちは浜田の声に、ようやく冷静さを取り戻した。翠も慌てて浜田に返事をする。
「あ、はい。わかりました」
「頼むな。じゃあ、俺先に戻ってるから」
浜田の後ろ姿を一瞥すると、翠は改めてお弁当に箸をつけた。